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70周年を迎えて

当機構は、本年、創立70周年を迎えます。

戦後間もない昭和25年、全国知事会の全面的な支援の下、地方自治法に基づき、「住宅に特化した火災共済団体」として、当時の建設省の片隅において産声を上げました。以来、「会員相互の信頼に基づく安価な掛金と簡易な手続」を実現することにより順調に発展し、現在、虎ノ門に拠点を構え、691団体の会員を擁し、年間事業規模は12億5千万円となっております。これも偏に会員をはじめとする関係各位の御尽力の賜物と感謝申し上げます。

この間、4度のターニングポイントを経ております。

まず、創立2年後。当初、都道府県共済としてスタートいたしましたが、昭和27年に定款を改正し市町村に加入いただく事により、公営住宅共済としての本来の姿を整えました。しかし、この2年の遅れがその後大きく響き、市町村の会員数は4割に止まっております。現在、新規会員の確保に努めており、漸く700会員に手の届く段階に入ってまいりました。

次の節目は昭和29年。復旧のみならず防火対策が重要であるとの認識の下、住宅防火施設整備補助事業を創設致しました。その後次第に制度の充実を図り、現在は、会員が行う消火器や火災警報器の設置、避難梯子やバリアフリー等の整備とともに、会員独自の防火活動も対象に加え、年間1億3千万円余の補助金を交付しております。

更に大きな転換期は発足から20年後。火災に加え、自然災害からの復旧支援も会員の大きな要望となり、昭和45年、住宅災害見舞金交付制度を創設致しました。公営住宅が自然災害に因り被害を受けた際は、国庫補助による復旧が可能です。そのため、同制度は、幾度かの変遷を経、国庫補助と一体となった制度となっております。即ち、被災後直ちに見舞金を交付するとともに、国庫補助対象とならない小規模被害を手厚く補償するなど、国庫補助の補完機能に徹しております。

最後は平成29年。平成18年には、災害発生時点で会計処理を行う事とし、経営の見通しを向上させておりましたが、東日本大震災の際、支払備金の積立が大幅に不足したうえ、当時は異常危険準備金の取崩が支払額を基準としていたため、数年に亘る赤字決算を余儀なくされました。その後、支払備金積立の精度を次第に上げるとともに、平成29年には、異常危険準備金取崩基準を発生額に改めました。その結果、収支均衡を基本とした経営が可能となっております。

現在は、創設以来の厳しい環境に直面し、5度目の転換期に差し掛かっております。

まず、近年日本列島の地震活動が活発化し、また世界的な異常気象が常態化しつつあり、会員は大規模災害に見舞われることが多くなってまいりました。その結果、当機構は、平成30年度には異常危険準備金6億9千万円を取崩す事態になり、令和元年度も、台風19号等の襲来を受け、異常危険準備金が更に減少する見込みです。

火災につきましても、その発生が全般的に減少しつつある中、公営住宅では、消火器、火災警報器の設置を進めたにも拘らず、増加基調にあり、かつ規模も大きくなりつつあります。

また、資産運用については地方債を中心に行っておりますが、長引く低金利状況の中、年々運用益が低下せざるを得ません。

このような状況を踏まえ、火災について現地調査や原因分析を進めるとともに、会員独自の防火の取組をお願いし、会員間の情報の共有、住宅防火施設整備補助制度の改善などに取り組んでおります。また、異常危険準備金の回復を目指し、共済規模の拡大を基軸としつつ、資産ポートフォリオの再編も行いながら、経常収益の増大に努めております。共済規模の拡大では、付保率向上や加入戸数の拡大のほか、未加入市町村への働きかけを強めております。資産ポートフォリオでは、リスクテイクに細心の注意を払いながら、一部、私募リートを導入致しました。

本年は、改めて会員間の交流を深めつつ、関係各位に今後の共済事業の在り方を考えて頂ければと存じます。そのため、11月には記念フォーラムを開催することとしており、多くの会員をはじめとする皆様方の参加を得、会員の意見発表や山田啓二氏(元全国知事会長)と加藤久喜氏(前復興庁事務次官)の講演後、交流会において活発な意見交換が行われる事を期待しております。また、ホームページの全面改定や機関誌の充実を図るほか、70年史発刊を予定しており、これまでの歴史を振り返り当機構の今後を考えて頂く縁になれば幸いです。

理事長 野村 守